Web技術やインターネット社会は日々進化し続けており、現在はWeb2.0から新しい時代のWeb3に向かっています。Web3はまだ新しい概念であり、多くの人が詳細については知らないかもしれません。この記事では、Web3が従来のWeb2.0とどのように異なり、関連技術を含めてシンプルかつ分かりやすく説明します。
目次
分散型インターネット
現在のインターネットは、GoogleやAppleなどのGAFA（巨大IT企業）が提供するプラットフォームに大きく依存しており、インターネット上のデータは中央集権的に企業によって管理されています。
Web3は、次世代の分散型インターネットを意味します。ブロックチェーン技術を活用し、データを分散管理することで、プラットフォーム企業のサーバーを経由せずに、ユーザー自身がデータの管理・運用ができるようになります。
Web2.0とどう違うのか
Web3は、インターネットの進化の中でWeb1.0、Web2.0に次ぐ「第3世代」と位置づけられています。
初期のインターネット（Web1.0）では、主にテキストベースの静的コンテンツが主であり、インターネットユーザーは主に情報を受け取る側でした。
Web2.0は、スマートフォンやSNSの普及に伴い、YouTubeやTwitter、Facebookなどのプラットフォームを通じて、誰でも情報を発信できるようになりました。
Web2.0のインターネットでは、データが急速に増えましたが、データの取り扱いが問題となりました。Web2.0では、GoogleやAmazonなどの巨大プラットフォーム企業が膨大なデータを蓄積しました。しかし、多くのデータを特定の場所に集約することはセキュリティ上のリスクが伴います。また、プラットフォーム企業はユーザーのアカウントを停止させたり、投稿を削除する権限を持っているため、言論の自由が侵害される可能性があります。
これに対し、Web3ではブロックチェーン技術を利用し、ユーザーが自律的にデータを分散管理できるようにすることで、これらの問題に取り組んでいます。Web3では、ユーザーのデータは分散型ネットワークであるブロックチェーンに保存されます。そのため、通信やデータ保存の際に、プラットフォーム企業のサーバーを経由する必要がなく、Web2.0の中央集権的なインターネットの仕組みから解放されます。
Web3は何を変えるのか
Web2.0からWeb3への移行によって、データセキュリティの強化と、ユーザー間での直接的な通信や取引が可能になるという大きな変化があります。
セキュリティが向上する
Web2.0の中央集権的な仕組みでは、企業が保有するサーバーがハッカーに攻撃されると、大量の個人情報が盗まれる可能性があります。しかし、Web3では各ユーザーがブロックチェーンを活用して自分自身でデータを管理するため、ハッカーが効率的にデータを盗むことが困難になります。また、ブロックチェーン自体はデータの改ざんが非常に難しい保存形式であり、ハッカーによる悪意ある攻撃がほぼ不可能とされています。
中間組織を介さずに通信が可能
Web3では、ブロックチェーンを活用することで、ユーザーのアクセスやデータ保存などを管理する中央集権的なプラットフォーム企業を介さず、ユーザー同士が直接通信や取引ができるようになります。その結果、ユーザーはプラットフォーム企業に手数料などを支払う必要がなくなり、より効率的かつ迅速にデジタル資産や情報をやり取りできるようになります。これにより、インターネットの利用がより自由になると考えられます。
Web3の具体例
Web3に関連するいくつかの技術や概念について、最新の情報に基づいて解説します。
メタバース
メタバースは、インターネット上に構築された仮想世界で、3D技術を用いて表現されています。ユーザーはアバターを通じてメタバース内で活動し、他のユーザーと交流や楽しみを共有できます。オブジェクトや土地などの資産価値が存在し、経済活動も行われています。インターネット技術の進展に伴い、Web3の分散型インターネットがメタバースのデータ管理や取引の安全性を確保する役割を果たすことが期待されています。
DAO
DAOは、「Decentralized Autonomous Organizations（分散型自律組織）」の略で、ブロックチェーンを活用して運営される組織です。従来の組織構造とは異なり、DAOはトップダウン式の管理がなく、各メンバーの自律性が尊重されます。DAOに参加するためには、ガバナンストークンと呼ばれる暗号通貨を購入し、会議や投票に参加する権利を得ます。DAOのルールや規制は、ブロックチェーン上のオープンソースコードとスマートコントラクトを用いて実現されます。
NFT
新潟県山古志村では、NFTを活用した地方創生が試みられています。デジタル村民と呼ばれるNFT購入者が、村の一部の予算執行権限を持ち、デジタル村民同士の取引の場が設けられています。リアルな村民とデジタル村民が共存し、山古志DAOとして様々な取り組みが行われています。
仮想通貨
仮想通貨とは、ブロックチェーン技術を活用したデジタル通貨で、法定通貨ではないものの、財産的価値を持つ資産として認識されています。Web3やメタバースが広がることで、仮想通貨を利用する機会も増えていくと予想されています。
Web3は、インターネットが巨大企業によって中央集権的に管理される仕組みから、分散型の仕組みへと大きく変わることを期待されています。その結果、金融、行政、地方創生など様々な分野で革新が起こり、地球規模の課題の解決が期待されています。Web3はまだ新しい概念であり、今後どのように進展していくかは確定的には言えませんが、デジタル社会の未来を切り開く重要なテーマとなっています。
まとめ
Web3は、ブロックチェーン技術などを利用して次世代の分散型インターネットを実現することを目指しています。Web2.0の時代においては、巨大なプラットフォーム企業がデータを独占する傾向がありましたが、Web3によってデータ管理が個々のユーザーに移行し、インターネットのあり方が大きく変わることが期待されています。メタバース、DAO、NFT、仮想通貨など、Web3に関連する技術や概念は今後のデジタル社会の発展において重要な役割を果たすと考えられます。
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