現存する日本最古の喫茶店 銀座カフェーパウリスタ

芥川龍之介など著名な文士やジョン・レノンも愛した銀座のカフェーパウリスタ。1911年(明治44年)の開業から100年以上の歴史があり、現存する喫茶店としては日本最古といわれています。老舗ひしめく銀座エリアでカフェ・ド・ランブルにもほど近い銀座8丁目を目指しました。

カフェーパウリスタの外観
カフェーパウリスタの外観

平日の昼間に伺って6割ほどの席が埋まっていました。1・2階の店内には合わせて100席あって、1階が喫煙席、2014年の改装時にできた2階が禁煙席で分煙されています。銀座だけあって品の良い雰囲気で、ゆったりのんびり静かな空間。買い物疲れのお客さんやビジネスマンの憩いの場になっていました。

2階の8席あるカウンターに腰掛けてメニューを眺めた。コーヒー3種にアイスコーヒー4種と月替りのスペシャリティ3種を基本に、エスプレッソベースやソフトドリンクを含めて約30種が並びます。ケーキやキッシュ、サンドイッチなどの食事メニューも豊富で、土地柄の割にはリーズナブルな印象。

「森のコーヒー」ドラフトコーヒー
「森のコーヒー」ドラフトコーヒー

まずは体を冷やすために、涼しげなドラフトコーヒー。

専用サーバーを使って注ぐ、アメリカ発祥の新食感コーヒー。「森のコーヒー」のコーヒー豆を使用したドラフトコーヒーからは、明るく爽やかな酸味と素晴らしい甘み、そして豊かなコクが口中に広がります。お砂糖・ミルクは入れずにお飲みください。

黒というよりはやや赤みがかった琥珀色のエールという感じで、窒素を含ませながら注いだコーヒーはドラフトビールさながら。中途半端なノンアルコールビールを飲むぐらいなら、むしろこういうのもアリかも。ただせっかくビアグラスで提供するなら、もう少しグラスの縁まで入れて泡の比率まで寄せると、ビール好きとしては嬉しいなと思ったり。

パウリスタオールド
パウリスタオールド

2杯目はパウリスタオールドで伝統の味を楽しんだ。ジョン・レノンとオノ・ヨーコは三日三晩このコーヒーを注文したそうです。

日本におけるコーヒーの大衆化に貢献した

1909年(明治42年)、サンパウロ州政府は日本におけるブラジル珈琲の普及事業を、ブラジル移民を初めて手がけた水野龍氏に託しました。水野氏は年間1,000俵の珈琲豆の無償供与と東洋の一手販売権を与えられ、1911年(明治44年)にカフェーパウリスタ銀座店を開業しました。ちなみにパウリスタ(Paulista)は、サンパウロっ子という意味。

星の中に女王の姿、珈琲樹の葉と真紅な実で囲まれたロゴは、サンパウロ市章を模している。
星の中に女王の姿、珈琲樹の葉と真紅な実で囲まれたロゴは、サンパウロ市章を模している。

場所は現在の交詢社がある真向い角で、パリの有名カフェを模した洋館を建てました。コーヒー豆の原料費ゼロを強みに、当時としては破格の1杯5銭で提供していたそうです。銀座の他店では1杯30銭程度だったそうなので、いかに安いかがわかる。洒落た雰囲気で珍しい飲み物が飲めるとたちまち人気になり、多い日ではおよそ4,000杯のコーヒーが飲まれたのだとか。

一説によるとカフェーパウリスタは銀ブラ(銀座通りを歩いてカフェーパウリスタにブラジルコーヒーを飲みに行くこと)の語源になったといわれている。
一説によるとカフェーパウリスタは銀ブラ(銀座通りを歩いてカフェーパウリスタにブラジルコーヒーを飲みに行くこと)の語源になったといわれている。

近くには大手新聞社やホテル、外国商館が立ち並んでいて、大正時代の文化芸術の中心地だったことから、多くの文化人や新聞記者に利用されました。芥川龍之介も新聞社に原稿を届けるための待ち合わせ場所に使っていたという。ほかにも谷崎潤一郎や与謝野晶子、森鴎外、藤田嗣治、アインシュタインまで、書ききれないほどのそうそうたる顔ぶれが通い詰めたそうです。

多店舗展開から閉業、そして復活へ

開業以来カフェーパウリスタは繁盛を続け、全国各地に26店舗も展開していた。海外の上海にまで手を広げていたというから驚き。ちなみに、大阪の箕面店が銀座店より半年ほど早く開店していたことが2003年にわかりました。箕面店はわずか1年で閉店してしまったそうなので、その存在さえ忘れられていたのでしょうか。

長年各地で親しまれていましたが、1923年(大正12年)の関東大震災でほとんどの店舗が全壊するほどの被災をしてしまいます。さらに同年、サンパウロ州政府からのコーヒー豆の無償供与の契約期限が切れたことにより、全国の店舗をそれぞれの経営者、またはその地方の共同経営者につぎつぎに譲渡して、店舗経営から撤退しました。

その後は残された資産で事業規模を縮小し、コーヒーの輸入・焙煎卸業を主として行うようになりました。戦時中に当局の指示で横文字の社名を日東珈琲と改称したのちも、水野氏の理想を継承し続け、約半世紀ぶりの1970年(昭和45年)に、現在の地にあるカフェーパウリスタを再開。

歴史が紡いだこだわりのコーヒー

現在カフェーパウリスタで人気No.1だという定番の「森のコーヒー」は、農薬や化学肥料を一切使用しない有機栽培の完熟コーヒー豆で、ブラジルとエチオピアの契約農家から買い付けたものをブレンドしています。ブラジルコーヒーの普及宣伝が事業の始まりだったことを考えると、ある意味では当時と比べると、表現力の縛りがなくなったと受け取ることもできます。

甘みがあり、香りゆたかで後味がさわやかなマイルドコーヒーの代表作。明るくさわやかな酸味があり、しっかりとした風味のどなたにも満足いただけるグルメコーヒーです。

そんな「森のコーヒー」ですが、初回限定でお得にご購入いただけるそうです。東京にはなかなか行けないという方も、日本のコーヒー文化とともに歩んできた伝統の味、ぜひこの機会にお家で試されてみてはいかがでしょうか。

参考:日本で最初の喫茶店「ブラジル移民の父」がはじめた―カフエーパウリスタ物語(長谷川 泰三/文園社)

カフェーパウリスタ
所在地:東京都中央区銀座8-9 長崎センタービル1F 地図をみる
営業時間:8:30~21:30(月~土)、11:30~20:00(日・祝)
電話番号:03-3572-6160
Webサイト:https://www.paulista.co.jp/

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