新宿に行くとベルクに必ず寄ります。今年の5月に初訪問しましたが、それまでは知りませんでした。なんで今まで知らなかったんだと自分を責めたぐらい、がっつり心をつかまれてしまいました。
ベルクは新宿駅の東口改札を出たすぐそばの駅構内にあります。新宿駅といえば、世界一の乗降客数でたくさんの人が行き交います。わずか15坪のスペースながら1日になんと平均1500人もの人が利用するそうです。
7:00〜23:00まで1日中営業していて、新宿という土地柄、幅広い客層で人間観察も楽しい。200近い商品数があるそうで、モーニング〜ランチ〜ディナーまで、各時間帯で利用用途はさまざま。
20年の純喫茶形態を経て、1990年に今のようなセルフスタイルのカフェになりました。2000年代はじめには大家であるルミネとの間で立ち退き騒動になるものの、2万人の署名が集まり多くのファンが支えた。
人にベルクを紹介するときは、一言でいうと「懐の深いお店」と言っています。噛み砕いて言うと「メニューが豊富で安くてうまい、そして居心地が良い。」ってことなんですが、時間帯を分けて可能な限りいろんなメニューをいただくことでベルクをもっと知れるような気がしました。
ということで、新宿ベルクに7日間連続で通ってみることにしました。
※価格表記は税込み
Day1 sat 10:30
初日はベルク定番の組み合わせ。ベルクドックとブレンドコーヒー。ベルクのコーヒーはおいしい。土曜日のこの時間はせわしい感じもなく、どこかへ向かう中継地点のような雰囲気。
用を済ませて13:00頃に再訪。ベルク開店記念でオリジナル醸造されたベアードブルーイングのセッションIPA。ベルクでは朝からアルコールメニューを頼む人が多い。
サッポロ、ギネス、エーデルピルスが基本メニューのビールとして提供されているほか、国内外のクラフトビールも常時2種ほど樽につなげています。
Day2 sun 10:30
2日目。今度はエスプレッソベースのものを飲んでみようと思って、ストレートにエスプレッソコーヒーにしようと思ってたけど、あまりの暑さでアイスラテにしました。
キッパー卵サンドは、燻製ニシンと卵焼き、野菜がライ麦パンでサンドされています。ほどよいニシンの塩味で、なるほど、これはおつまみにもいい。燻製ニシン単品(キッパーヘリング)もあります。
実は昨日に続き、女装に励んでおられる方をみました。そのような方に特別な感情はないのだけど、ここにいる人たちはどんな人であろうが馴染んでしまう。ベルクの懐の深さでもあり、新宿って街の多様さでもあります。
Day3 mon 13:00
今日は祝日。野菜の旨味がおいしいラタトゥイユに辛口の白ワインをアテた。滞在時間わずか10分。
ワインは月替りで赤白2種ずつ提供しています。チーズに合わせるのもいいですね。ベルクは一人飲みの女性客が多いのも特徴のひとつ。
Day4 tue 12:30
この日は朝食を食べすぎてお腹いっぱいだったけど、カレーのスパイスに刺激されて気づいたらぺろっと食べてしまった。辛さは控えめで、ピクルスが良いアクセント。スパイスに大量のゴマを混ぜているとのことで、とても健康的だし家カレーでもやってみよう。
南アルプスの天然水を使ったネルドリップのコーヒーは手頃な価格ですが侮るなかれ。
Day5 wed 19:00
水曜日は連れと一緒に伺って、主力メニューを楽しみました。ディナータイムはやっぱり多少の列の長さはあるものの、そこはベルク。回転が早いのでそこまで待たされることはない。
ポークアスピックが個人的には特におすすめで、希少な豚肉をスパイスや生クリームなどでゼリー状にしたものなんですが、初ベルクの人には迷うことなくこれを薦めます。ベルクのソーセージ類は、すべてこれを製造した職人さんから仕入れているそうですが、手を組むきっかけとなった商品がこのポークアスピックなんです。とにかく感動するから食べてみて!
レバーパテも同じ腕利きの職人さんのもの。ワインにはコレです。新鮮なレバーは臭みがなく、なめらかな舌触り。頬肉も一緒に混ぜられていて、レバーが苦手な人にこそ食べてもらいたい。あと安定のナンコツ揚げ。こういうのが居てくれるのもありがたいです。
続いて白いソーセージ・ヴァイスブルスト。本当は皮をはいで、中身だけ食べるみたいなんですが、酔っ払ってたこともありうまいこといかなかった。誰かコツを教えてください。とはいえ想像よりも皮は固くなく、むしろプリプリの好みの加減で、肉の旨味とハーブの香りにやられました。
常陸野ネストのチェリーゴーゼをデザートに。乳酸菌由来のやや酸味のあるフルーツビールで、口のなかがさっぱりした。
Day6 thu 21:00
ベルクでは日本酒も飲める。ワイングラスで提供される純米酒の肴は生ハムにしてみました。自然な味わいの生ハムなので、繊細な酒でもぶつかり合わない。純米酒は日替わり。
あとから来た60代ぐらいの殿方が、たばこだけ吸って出ていった。「ここはパチンコ屋じゃねえんだぜ、おっさん」と思いつつも、こういうのもまたベルクなんだよなあと、妙に納得してしまいました。
誰にでも開かれていて、客に対して過度に媚びることなく、適度に干渉されない。そんな自分もイギリスのパブで、ビール一杯も頼まずにサッカーだけ観に行ったこともあったっけ。
Day7 fri 11:00
最終日。締めに相応しい、みんな大好きTKG。黄身の色が自然な黄色で、しっかり味のある卵。
和風だしの「大麦と牛肉の野菜スープ」は、卵かけご飯の女房役として我ながらベストチョイスだったと感心しながら、二日酔いの体に染み渡っていきました。
7日なんかじゃ全然足りなかった
ベルクの良さは普通の日常をほんのちょっと豊かにしてくれるところです。このほんのちょっとってのがポイントで、あまりにも非日常すぎると、異世界からの反動が大きくて逆に疲れてしまうもの。
最近整然としたお店が多いなかで、ベルクのカオスな内装はふと目をそらせるから落ち着くのかな。こういうのはお店の姿勢と長い年月がつくり出すものであって、再開発という名目で新しいものにばかり価値を置くのはつまらない。
今回ご紹介したほかにも、ハムサンドやベーコンドック、チリドックも食べたい。卵かけご飯にコンビーフの組み合わせも試してみたいし、ショーケースに並ぶパンとかデザート系も気になっています。
ソーセージやレバーパテ、ポークアスピックなどお肉類の持ち帰り用もあります。数に限りがあるので、出会えたらすぐに確保したほうがいいです。
一度にベルクを味わいたいならセットメニューがおすすめ。ジャーマンセットは手頃な値段で人気商品を楽しめるし、エッセンベルクは30種類の食材を使った最強のベルク定食。
ビールがお好きなら11枚綴りで一杯分お得なビアチケットをどうぞ。それとほら、トッピングメニューも豊富だから自由に自分好みを探す楽しみもあります。
ということで、これからもお世話になります。
参考:
新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには?(井野 朋也/筑摩書房)
「食の職」新宿ベルク 安くて本格的な味の秘密(迫川 尚子/筑摩書房)
新宿駅の小さな店ベルクは、なぜいつも満席なのか? 熱狂的に愛されるお店・会社をつくる6つの秘密(中山 マコト/現代書林)
ビア&カフェBERG
所在地:東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿店 B1F 地図をみる
営業時間:7:00~23:00(無休)
電話番号:03-3226-1288
Webサイト:http://www.berg.jp/