獺祭といえば言わずと知れた人気の酒ですが、最近詳しく調べる機会があったので書き残して置こうと思います。
獺祭は山口県岩国市にある旭酒造という酒蔵で造られているお酒です。旭酒造は純米大吟醸酒しか造らないことで有名で、代表銘柄の磨き二割三分は23%まで米を磨き、フルーティーな香りと柔らかな口当たりで飲みやすく、日本酒が苦手な人にも薦めやすい。獺祭をきっかけに日本酒ファンになった人も多いのではないでしょうか。
正直にいうと最初は獺祭がなぜそこまで人気なのか。知名度ばかり先行していて魅力がよくわかっていませんでした。杜氏がいないのは有名ですが、獺祭にはデータ活用などITのイメージが強く、日本酒を工業製品化しているように私には映っていました。しかし、詳しく調べるうちに見方が変わっていきました。
獺祭の魅力は閉鎖的な業界を開放している姿だと思う。
経営危機の時に杜氏に逃げられたのがきっかけで、緻密なデータ分析を取り入れ、経験と勘に頼らない杜氏不在の酒づくりを可能にしました。また、獺祭は年間を通じて酒を造る四季醸造をおこなっているが、完璧な空調設備の導入で安定的に高品質な酒を供給することができる。杜氏・蔵人の後継者不足などで酒蔵が減少を続けるなか、限りなく属人性を減らすことで逆境に打ち勝ってきました。
酔うため 売るための酒ではなく 味わう酒を求めて
―旭酒造ホームページより
この言葉からもわかるように、旭酒造は本当に美味しい純米大吟醸にこだわってきました。効率だけを追い求めているわけではなく、磨き二割三分は精米に168時間もの時間がかかるそうです。日本酒全体の消費量が落ちているなかで、特定名称酒の消費量が伸びている背景はクラフトビールブームのように本当に良いものが求められているように感じます。
伝統を守るために慣例を捨て、デジタルを柔軟に取り入れることで、バランスよくテクノロジーと共存している。何より全国の酒蔵が直面する(している)であろう問題を解消し、歩むべきひとつのモデルになっているのではないでしょうか。
2017年にアメリカに酒蔵を建造することを発表。今年の4月にはパリに「ダッサイ・ジョエル・ロブション」をオープンするなど海外の進出も積極的に進めています。そんななか同年7月、豪雨の影響で蔵の一部が浸水するなどの被害を受けました。しかし、なんと約3週間後には生産を再開していた。ここでも獺祭の強さを再認識しました。
私たちは飲むことで応援しましょう!ではまた。